鉄と木。この相反するふたつの素材は、語り掛けると別の表情を見せてくれます。沈黙する鉄は命を与えられたようにしなやかに動き、生命ある木はその呼吸を保ちながら静かに共鳴します。自然の恵みにインスピレーションを受け、調和を帯びた家具や什器は、空間を彩り暮らしを豊かにします。
木、樹は、長い年月、自然環境の様々な影響を受けながら枝葉を延ばし成長し大地に繁栄する。
土や水、日当たり、傾斜など育った場所や気温湿度の変化、気候の変動の影響、また風雨や雪、鳥や動物との接触によるキズや途中で折れた枝など、生きてきた歴史を体に残し年輪を重ね、色や形、模様など一本一本独特な表情をもつ"木の個性"として現れる。
切り倒し木材になった後も気温湿度に影響を受け変化し、太陽光などの光を吸収し色合いを変え、時の経過とともに艶や深みを増し、暮らしの中で変化していく。
木のスピリット(魂)を保ったまま、「自然を生活空間に届けたい」「樹木の生命力や包容力を感じられる家具を作りたい」とリファは見て聞いて触って感じ、木の魅力が最大限生きるちょうど良い状態を見つけ出す。
その木の個性や特性、スピリットからインスピレーションを受け、それらを尊重しコラボレーションする行為が制作。使う人が触れて楽しみ、木の美しさとその生命の輝きを感じ自然とつながれるように、木に真剣に向き合い、セカンドライフを吹き込みます。
鉄は道具を作る材料として人類の文明が始まった頃から使われ、今も昔も重要な素材。地球の主成分であり、鉄分は私たちにも必要不可欠な栄養成分。
鉄が硬く重い、強くて冷たい、変形しない素材を特徴すると、木はその反対。でも木が燃えれば、その炎で息を吹き替えしたように、鉄はその色も形も変える。
無機的な鉄が、熱し、叩き、繋げ、自由自在の動きや質感を持ちだし、魂を宿したように温かい印象に変わる。
鉄仕事は心の在り様がよく出る。心をクリアに、真ん中に置く。気持ちが整わなければ森を歩いたり、時間を置いてまた向き合ったり、出来るだけ無の自分で対峙する。そんな理想的な状態が自分の手を動かし、インスピレーションが形になる。
鉄 × 木
二つの関係性、バランスに魅かれている。
双方を最大限に生かし組み合わせ、一つにする。
日々鉄と木が持つ可能性を追求する。